鴉 Original Photo via flickr.com
黒い影がずっと着いてくる
身を隠すでもなくそっと
前の街から
わたしの行方を見届けようと、鴉が着いてくる
ショーウィンドウに姿を写す
わたしの様子を
上着の中を値踏みするように、鴉は追い越そうとしない わたしの脇を車が通りすぎて止まった
突然大きな羽音がして、
身をすくめたわたしを促した
黒い影は真後ろにピタリとついて、わたしを共に先へ促す シューベルトの歌曲集《冬の旅》から第15曲「からす」
詩は、ヴィルヘルム・ミューラー
バリトン:ゲルハルト・ヒュッシュ、1933年録音。
15. Die Krähe | からす |
Eine Krähe war mit mir | 一羽のからすが僕の側を |
Aus der Stadt gezogen, | あの街からついて来ている。 |
Ist bis heute für und für | 今日までずっと |
Um mein Haupt geflogen. | 僕の頭の上を飛び廻っている。 |
Krähe, wunderliches Tier, | からすよ、奇妙な獣よ、 |
Willst mich nicht verlassen? | 僕から去って行こうとは思わないのか? |
Meinst wohl bald als Beute hier | きっとすぐに餌として |
Meinen Leib zu fassen? | 僕のからだをここで食べるつもりなんだろう? |
Nun, es wird nicht weit mehr gehn | もはや、これ以上旅杖をついて |
An dem Wanderstabe, | 歩き続ける事もないだろう。 |
Krähe, laß mich endlich sehn | からすよ、墓に入る最期まで |
Treue bis zum Grabe. | 僕に誠実さを見せてくれ。 |
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