仏映画「狼は天使の匂い」のタイトルは覚えがあるけれども、通して字幕で観るのは今夜が初めてになると思います。日本語吹き替え版や、図書館での映画会では見ていると思うけれども印象に残っている場面はありませんでした。
ルネ・クレマン監督とフランシス・レイ音楽のコンビで、昨晩BS2で放送された「雨の訪問者」に続いて製作されました。劇中の音楽も記憶にないけど、テーマ曲は記憶にあるのでNHK-FMの映画音楽の番組の時にエアチェックをして聴いていたのでしょう。
原作は「兎は野をかける」。クライマックスの銃撃戦の中で黒いスーツの男たちの中でぬいぐるみを抱いた少女が、ラメ入りのドレスで一緒に闘う光景は幻想的としか言い表しようがないみたいです。この少女が野をかける兎のようでした。ジャン=ルイ・トランティニャン(トニー)トロバート・ライアン(チャリー)の2人の名優が渋く、少年時代の友情を守りながら孤立した山荘に追い詰められていく、フィルム・ノワール。1960年代のジャン・ギャバンなどのクールさはなくて、1974年2月公開という叙情感漂う一編。観ている間は心地良い空気感が漂っているんだけど、終わってみるとあちらこちらは他の映画と似ているようなシーンと比較しがち。2人の少年時代の場面を織り込んでいるようにルネ・クレマン監督が、1960年代を邂逅しているような印象だけが残りました。
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