華麗なる円舞曲というタイトルが出版譜にあるけれども、甘い切ない情緒に包まれるマズルカといった方が似合う。技術的にはショパンが作曲したワルツの中でも容易な曲ですけれども、随所に「ピアノの詩人」としてのショパンの天才が現れている屈指の傑作です。ベスト10に選ばれる時にかかされることはありません。
作曲は曲集の中でも初期。ワルツはショパンの故郷ポーランドにおいて、マズルカと並んで日常的な舞曲だといいますから、ウィンナ・ワルツに接した時に「ワルツが作品と呼ばれている!」と驚いたショパンは作品18の「華麗なる大円舞曲」の路線と生活の傍らに寄り添うような素朴なワルツの路線を書いてみたのでしょう。結果的には作品18として華やかなワルツを出版して、パリで受け入れられることになりました。第1番と第3番のワルツは同じ頃に作曲された双子のような関係の曲で、作品18同様に「第3番」も気まぐれなメロディーの連なりになっています。
単純だけど、微妙な感情の変化が表現できるかを問われる技術的には容易でも、聴き手を感動させるのは難しい曲です。ディブリ男爵夫人に献呈しています。
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