2010年6月25日金曜日

ワルツ第6番 作品64第1 仔犬のワルツ 1846〜47年作曲

小学校の卒業文集に書いた作文と、大学の卒業論文はどちらが優れていますか?ショパンのワルツ第6番は「仔犬のワルツ」として、とても良く聴かれていますね。

「仔犬」があるのなら、「仔猫」もありますか?・・・と、まじめな質問なのか半ば困らせてやろうかという質問なのか。たずねられることがあります。「猫のワルツ」と呼ばれるのは、先に紹介した第4番のワルツ「華麗な円舞曲」です。2曲の間には8年ほどの開きがあります。仔犬のワルツの方が、猫のワルツよりも味わいが薄いとは猫にも失礼ではないかしら。ショパンがサロンで請われるままに即興で書いた曲だから、スケッチを推敲したものではないから劣るのだとでも言いたいのでしょうか。何度も何度もスケッチを描き直して1曲につくりあげたベートーヴェンを楽聖とする判断の一端を垣間見るような比較評論ですね。アドリヴを旨とするジャズよりも再現芸術のクラシックの優劣を論じているように感じられます。

曲は変ニ長調、速度表記は「モルト・ヴィヴァーチェ(もっと速く)」。徐々に加速していくところが、子犬が自分のシッポを追いかけている様子が見えるようです。海外では「1分間のワルツ」と呼ばれていますが、ジョルジュ・サンドが飼っている仔犬の「マルキ」の愛らしい様子を曲にして欲しいと求められて作曲しました。ソステヌートする中間部の優美さはピアノの詩人ショパン独特の世界で、ほろりとする情緒にはうっとりさせられます。楽譜はデルフィーナ・ポトツカ伯爵夫人に献呈されました。

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