まだ命名されていないこの新種は研究者にとっては目新しいが、アマゾン川流域、特にペルーの地元住民にとってはなじみのある食材だ。「地元ではスープに入れたり丸焼きにしたりする。表皮が鎧のように硬く、器の役割をはたしてくれるので、内臓を取り除いて丸ごと火を通せばそのまま身を取って食べることができる」。
この新種を含め、木を食べるナマズのほとんどはパナクエ属で、体長80センチ以上に成長する。
体が“鎧”に覆われ、木を食べる新種のナマズがアマゾンの熱帯雨林で発見された。
例えば、別種のロリカリア科のあるナマズ(通称suckermouth armored catfish)は独特の歯を使って水中の木の表面から有機物をこすり取るが、まだ命名されていないこの新種は、実際に木を食べることが確認されている十数種のナマズのうちの1種である。
ただし、木を食べるナマズもほとんどは木質を消化することはできない。藻類、植物性や動物性の微生物など、木に付着する微小な有機物だけが体内に吸収され、木質部自体は消化器官を素通りして排泄される。
木を食べるナマズの消化器官について研究するカリフォルニア大学アーバイン校の生物学者ドノバン・ジャーマン氏は、「木は4時間もたたずに消化器官を通り抜ける。木を消化するとされる動物としては異例の速さだ」と話す。
「木の消化を助けるために驚くべき微生物組織を消化器官の中に住まわせていると考えられていたが、調べてみるとそうではなかった。驚くべき微生物がいたのは川の中や木そのものの方だった」。