作品番号のあるショパンのワルツは13曲。14番以降の曲は総て「遺作」となります。第14番から第17番まではナンバリングが付いていることもありますが、この「ホ短調のワルツ」よりもワルツ第15番ともされる「ホ長調のワルツ」は7年先駆けて1861年に出版されていますから、しばしば入れ替わることがあります。
ピアニスティックな曲で遺作の中でも人気があるワルツです。曲の冒頭に速度表記はなく、ホ長調の中間部に「ドルチェ=優しく」と表記があります。1830年の作曲、ホ短調で書かれているのでピアノ協奏曲の代替え曲として書く留められたのではないでしょうか。3部形式で主部は8小節の序奏の後にホ短調で示される躍動感あるフレーズで、跳躍が多くショパンのワルツの中では演奏技術の難しい作品になっています。対してホ長調で始まる中間部は甘美かつ優美であり、束の間の心地良い夢といった趣です。それが終わると主部が短く再現された後、華やかなコーダに入り華麗に終わります。第1番、第2番、第5番と並び、演奏技巧の難しい華麗な舞踏用の円舞曲の典型といえます。
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