2011年3月28日月曜日

震災に沈痛な思いの人に聴いて欲しい1枚 ムターのモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 - 東日本関東大震災に心痛めているあなたを励ます音楽選集 Disc.2

東北地方太平洋沖地震、津波で被害にあわれた皆様に心からお見舞いを申し上げます。 また、被害にあわれた地方にご縁のある方、ご親戚等と連絡が取れていない方も大勢いらっしゃることと思います。 皆様のご心中を察すると、大変胸が苦しくなります。 いろいろとご心配もあると思いますが、安全確保に努め、ご無理をされないようにと願っています。

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Violin Concertos / Sinfonia Concertante 評価:★★★★★

心配をして半月。余震はまだ続いていて、一月ほどのうちに大きなぶり返すがあり得るとも言われています。それでも生活は次第に日常を目指しているわけで、熊本でも被災家族の受け入れが進んでいます。

被災地が欲しい物。

欲しい物を売っているお店。
男女別の更衣室。
若い女性の洋服。
...新しい雑誌。
子供達の遊び。
音楽などの癒しの公演。

震災後、美容院が洗髪の無料サービスを試みたりと、食べるものや防寒が最も求められててはいても貧窮とは違うのですから、平素の心持ちに戻ることがまずは大切なことなのだと学びました。

音楽には癒し効果があります。でも、音楽療法でもケース・バイ・ケースで万能薬といえる音楽はないけれども、良い演奏と良い録音が満たされると目の前で演奏される癒し効果を得られるレコード、CDがあります。

モーツァルトの音楽は最適な上に、ムターのヴァイオリン協奏曲集は日頃クラシック音楽を聞きつけていない人、音楽に馴染みが薄くても心に何かしら灯してくれると思えるCD録音の1つ。これまでヴァイオリニストの多く、新人から名ヴァイオリニストとされる奏者の録音があるし、批評家が絶賛する録音はある中で理屈抜きにくつろげる今、最上のモーツァルト:ヴァイオリン協奏曲集です。

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Violin Concertos / Sinfonia Concertante

 

Wolfgang Amadeus Mozart 

Violin Concertos

  • ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 K.211  試聴:第1楽章
  • ヴァイオリン協奏曲 第1番 変ロ長調 K.207  試聴:第1楽章
  • ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219《トルコ風》  試聴:第3楽章
  • ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218  試聴:第1楽章
  • ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216  試聴:第1楽章
  • 協奏交響曲 変ホ長調 K.364(320d)(*)  試聴:第1楽章

アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリンと指揮)

ユーリ・バシュメット(ヴィオラ(*))

ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:2005年7月ロンドン〈デジタル録音〉《4Dオーディオ・レコーディング》

 

アンネ=ゾフィー・ムターが自分で指揮もしての弾き振りという演奏。DVD(モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集 [DVD] 日本盤は入荷待ちのようですが輸入盤はショップ店頭でセールに成っていることがあります。)も発売されています。この録音がムターのデビュー30周年を飾りました。録音当時43歳。熟女ヴァイオリニストのモーツァルトで、芳醇な色気があって類をみないモーツァルトのヴァイオリン協奏曲の演奏に成っています。ヴァイオリン協奏曲のすべてがモーツァルトが十代に完成した音楽で、それ以降モーツァルトはヴァイオリンのための協奏曲を作曲していません。生涯通してピアノ協奏曲は作曲していたのに対して、最近では後年の曲と同じ視点で演奏しないように成りつつあるようだけれども、そうなのかな?大人っぽい演奏でモーツァルトのヴァイオリン協奏曲を演奏したらいけないのかな?・・・と感じていたところにムターの演奏が登場したのでした。

ピアニストであり、優れたヴァイオリン奏者でもあったモーツァルトが新しく作曲しなかったのは、大人のモーツァルトにとっても遜色ない出来だったからではないのか、技巧は凝った曲も書けたはずなのに必要を感じなかった。そんな感想にわたしを導いてくれたのがこのディスクでした。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲でムターがデビューしたのが、13歳の時。その演奏は13歳の少女の音とは思えない。デビューの録音でカラヤンが指揮をしてくれるなんて、それだけで話題性高かったけれどもカラヤンがその後もムターを気に入っていたのは、13歳のムターが自分の演奏したいイメージをカラヤンにぶつけてきたから。ムターはカラヤンとの当時の録音について『カラヤンの求めている音楽の期待に応えることが大切だと学んだ』と言ったことを書いています。ムターがこの『モーツァルトのヴァイオリン協奏曲』に指揮者を迎えないで、ムター自身がオーケストラを先導したのは指揮者の意向を挟まないモーツァルトの演奏を残しておきたかったのでしょう。

モーツァルトの時代の演奏スタイルではないかも知れません。ベルリンフィルの近代的なサウンドで、バッハを録音したカラヤンに相通じるところを感じますが"音楽に身をまかせる"ことが出来る極上の1枚です。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲を嫌いな人は居ないけど、意外と日頃聴いている人も居ない。マーラーやブルックナーを日頃聴いている音楽リスナーの中には、モーツァルトの音楽は良く分からない、親しみを感じられないといった声を聴くことがあります。ムターのモーツァルトはバロックから400年間の経緯を隔たりを凝縮してしまった、時代スタイル云々を越えている"クラシック音楽"です。評価:★★★★★

 

 

 

 

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