絹の階段(きざはし)は、絹のはしごという題名もあって紛らわしいですね。ロッシーニは76歳まで長生きして、しかも裕福な生涯を送った商才のある作曲家でした。元来の客扱いが巧みな人だったのでしょう。でも才は豊だったから、稼ぐために入団したオーケストラで吹いて沸いた作曲の仕事を最初にこなしたのが、若干18歳の時。二十歳の時の第2作「試金石」がロッシーニの将来を文字通り決定づけました。しかも上演してヒットした場所がよかった。かのスカラ座だもの。
どれだけの歌手や作曲家が、このスカラ座で自分の演奏や作品が称賛されることを夢見て頑張っていたことでしょう。それなのに、それなのに、ロッシーニ青年は「試金石」の大ヒットで兵役免除されたことを喜んでいます。もしかしたら、その必死な願いで才能を開花させたのかも知れません。それから書くオペラ、上演する度に大ヒット。20年間の間に38曲のオペラを総てヒットさせています。ところが、ところがよ。37歳の時に「ウィリアム・テル」を上演した後であっさりと料理人に転身しちゃった。やはり、直接お客の反応が一人一人感じられるレストランの方が良かったのかも知れませんね。
さて、短い期間にたくさんのオペラを作曲したから、似たような題名のオペラがあったって仕方がありませんね。
と、言うのは冗談です。「絹のはしご」と「絹のきざはし(階段)」は同じ曲の名前です。単に日本語の訳が何通りかあると言う事。「きざはし」というのは、「刻む」と「橋」の合成語で、階段のこと。但し、階段状の階段を絹で作るわけにはいきません。絹の飾り付けをした階段なら分かりますけど、それでは目立ちすぎてしょうがない。夜中にこっそりと恋人が寝間に入ってくるようにと、絹(絹のドレスだと思うけど)を束ねて縄ばしごにして窓から垂らして待つというお話し。現代日本に置き換えたら、ストッキングで作ると絹よりも安価な縄ばしごが完成しますね。
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【管弦楽曲】
- ロッシーニ:序曲集〜セヴィリャの理髪師、シンデレラ、絹の階段、アルジェのイタリア女、ブルスキーノ氏、コリントの包囲
演奏:
- 指揮: クラウディオ・アバド
- 管弦楽:ロンドン交響楽団
試聴感とレコード盤、ジャケットのコンディション:
- 1975年録音、発売。この時期のアバドらしいスマートでしなやかで生命力に溢れた名演です。この録音の後、78年にRCAにも序曲集を録音していますが、そちらも素晴らしい演奏でした。
- 録音はアナログ後期のものだけに、ちょっと細身の音ですが情報量多く、繊細な音質です。
- 盤は問題無く、大変良い状態で鑑賞できます。
- ジャケットは表、裏共に大変綺麗です。
ⓇNM ⒿNM
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